夜桜と朧月

借りたアパートはそのままで、朝の7時に姉達の家へ行き、お義兄さんの為に軽く朝食を作り、子供達を起こす。



排泄物を替えてきれいにしてあげると、ミルクを交互に飲ませる。



そして、お義兄さんが帰って来るまで、私が姉達の家で咲希と多希の面倒を見る。





双子の一日の様子は、きちんと育児ノートに記入していた。


【11時にミルクを80㏄飲みました。あとはあそびながら少しずつ飲んでいます。

排泄は10時、12時、15時、16時30分に一回ずつ。私が食べているクッキーに興味を示しました。

でも、お食い染めもまだなので、大人が食べるような物はあげられません】



日記に記入しながら、この子達のお宮参りが秋の終わり頃に当たることを思いだし、それもその日のノートに書き出した。



【咲希と多希のお宮参りですが、着物はレンタルにしましょうか?それとも、ご購入なさいますか?お義兄さんとご両親とでお決めになりたいと思いますので、ご相談してみて下さいね】


妹の多希は「あー!うー!」と元気に自己主張してくるが、姉の咲希は静かな赤子だった。


赤いボールや風船を目の前で見せると、多希はそれを掴みとろうと手を延ばす。

だが、咲希は不思議そうに目で追うだけで、体を動かすような事はしない。


咲希と多希は二卵性の双子だったらしいから、性格も少しずつ違っているのかな?


だとしたら、この子達はどんな着物が似合うだろう?

咲希は姉に似て、穏やかな性格になりそうな気がする。だとしたら、淡い薄紅色の着物なんていいんじゃないかな?


多希は、活発そうだから、赤い着物が似合いそう。

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