夜桜と朧月

やきもきしながら待つこと15分あまり。



ようやく開いた寝室のドアに走り寄る。


「……バレた」


開口一番、薫が言う。


バレた?



「お前との仲。お義父さんに。……つーかお前、さっきお義父さんと話してて、俺の事名前で呼んだろ?それでピンときたらしい。あと、正月に行った時の俺達の態度にも疑問点があった、ってさ」



うわあぁぁ!!迂闊だった!!



「……で、……あの。お父さんは何て……?」


まさかまた、「絶対許さん!」なんて言われたらどうしよう。

私どこにもお嫁に行けなくない!?


「少し考えさせてくれって。今はほら、お義父さんもあいつを亡くしたばかりで、心の整理が追い付かないからって。だから一周忌までは、どっちの親達にも言わないつもりだったんだけどな」


はううぅぅ。


「……ごめんなさい……」


しゅんと首を垂れる私の頭を優しく撫でて、キッチンへ向かう薫の後を追った。

「ま、気にすんな。言うのが早いか遅いかの違いだけだから、問題はねーだろ」

言いながら薫は冷蔵庫から発泡酒を取り出し、プルトップを開けた。


そして一気にそれを煽る。



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