夜桜と朧月

Ⅱ

それから一週間は薫の機嫌が悪くなったり良くなったり、精神的に波があるようだった。



私や子供達に八つ当たりをして来ないから無害ではあるけれど、どうしても気を使ってしまう。

薫のお母さんも、幾ら心配だからってやり方がストレート過ぎたんだよな……。



いきなりお見合い話なんて、薫にしてみれば寝耳に水だろうから怒るのもムリは無いとは思うけど。



お母さんに釘を刺すために、お見合いはもうしたくない旨伝えるべく薫が実家に電話を掛けたら、あの時の女性とは既に顔合わせの日時までセッティング済みだったらしい。


侮れないよ、薫のお母さん!!





そういう理由でこの一週間、薫の機嫌を伺いつつ家事と育児を熟してきた私だったが、休日に「気晴らしに買い物に行こう」と言われたら、それまでの鬱々としていた気分が、かなり楽になった。


行き先は車で30分ぐらいかかる、最近出来たばかりの大型のショッピングモール。