夢のまた夢
序章
玉階怨の想い
【玉階怨 作・謝眺】
夕殿 殊簾を下ろし
流蛍 飛んで復(ま)た息(いこ)う
長夜 羅衣(らい)を縫う
君を思うこと此(ここ)に何ぞ極まらん
夕暮れの宮殿は、美しい簾を下ろしてひっそりと静まり返っている。
辺りが暗くなり、蛍が流れる様に飛んで、ふと動きを止める。
長い夜は、一人薄絹の着物を縫って過ごしているが、
そんな事をしていても、あなたを慕う気持ちはとても切なくなってしまうのです。