乙女桜〜誠の武士〜



その後、
沖田さんに捕まった私は、
またしても縄でぐるぐる巻にされ
土方の部屋に座らされていた。
私の後ろには沖田さんが座り
逃げられないように見張っている。
集められた幹部たちからの視線が痛い。



土「………どうして逃げた。」

陽凪は黙りを決め込んだ。
しばらくすると、
襖の外に気配がした。

?「副長、伝えたき事が…。」

土「山崎か、入れ。」

山崎と呼ばれた男が部屋に入ってきた。

山崎「和泉に似た男が、
長州の奴等が使っていた屋敷から
出てくるのを見たという証言を、掴みました。」


えっ……。
あの時誰かにみられてたなんて。

土「…おい、斎藤。
こいつをあの部屋まで連れていけ」

斎「…御意。」


…あの部屋?
周りの幹部をみると、
みんな険しい顔をして私を見ていた。
あの目は…
私は瞬時にあの地獄の日々を思い出した。
…あーぁ。何処にいても私は同じか。
おそらく長州の事を知っているとでも
勘違いしているのだろう。
また傷つけられるのか。

そして私は斎藤に腕を掴まれると
そのまま薄暗い部屋に連れていかれた。






< 35 / 95 >

この作品をシェア

pagetop