僕と再婚して下さい。
ふいに、東京であった出来事を思い出してしまう。


実をいうと、オレはホテルに泊まった夜、舞をあきらめる決意を一度したのだ。

これは本人には言わなかったことだけど。

キスマークをつけた時、舞の体はかすかに反応していた。

オレは舞の肩に唇で触れていた時、片手では舞の胸に触れていた。


『ん……ダメ……』

『何で?既に感じてるみたいだけど?』

『あ……洋介……』


オレは愕然とした。

いくら寝ぼけているとはいえ、相手が誰なのか分かっていると思っていた。

なのに舞の口から出た名前は、


"洋介"──澤村さんの名前だった。





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