上司と上手につきあう方法【完結】
胸の奥がザワザワと音を立てる。
それなりに大人だから、人目があるから。
傷ついていないふりをして
それでも一人になった瞬間、ふと気が緩んで涙ぐんでしまう、部長が六年前の自分と重なった。
「部長……!」
エレベーターに乗らないまま、私は企画営業部へと向かう彼の背中を呼び止めていた。
「――」
永野部長は、怪訝そうに歩みを止めほんの少し、肩越しに振り返る。
「私、つい最近死ぬほど好きだった元彼と再会して、あれこれあって、一人じゃ耐えられそうになくて……」
「――」
部長が怪訝そうな表情を浮かべる。
そりゃそうだ。いきなり部下からそんなことを言われるなんて青天の霹靂だろう。
仕事中だったら何を寝ぼけたことを言っているんだと、きっとものすごい嫌味を言われるに決まってる。