あの加藤とあの課長

はじめ

気が付けば慌ただしく月日は流れ、9月も終わろうとしていた。

最近、うちの会社は新事業に着手していた。



「加藤、これ、ブライダルの課長に届けてきてくれ。」

「はい。」

「こっちはドレス。」

「はい。」



その事業というのも、所謂ブライダル系。

今まではスーツだけだったんだけど、結婚式関係に手を出し始めたと思ったら、ドレスにも手を出し始めた。


それらは既存の部署の中に新しく課を設けるという形で始動した。

とはいえ、私たちは今までと何ら変わりはなく、これといった影響もない。


それにしても…、どこか焦ってる感じがするのは私だけ?


ちなみにそれぞれブライダル課、ドレス課と分かりやすすぎる名前がついている。

私たちのところは春から営業1課と2課になるらしい。



「課長、スーツ課の加藤です。こちら、お願いします。」



今は通称スーツ課で通ってしまっているうちの課。なんだか悲しい…。



「加藤ちゃん! お疲れさま! ありがとねー。」



ドレス課の課長は女の人。まあ、ドレスを着るのは女の人だから、そうなっちゃうよね…。

すっごくサバサバしてて好みの性格。



「あ、加藤ちゃん。」

「はい。」

「あの生渕課長と付き合ってるんだってー?」



ニヤニヤしながら訊いてくる課長さん。



「今は仕事中ですので。」



ごめんなさい、私も公私混同はしないタイプなんです。
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