何度でもまたあなたに恋をする

脳裏を過る恐怖の記憶

お昼休み、あたしはお弁当片手に自分が書いたマニュアルを何度もペラペラと読み返していた。電話対応はなんとかなるとしても入力はミス出来ない。手順は間違えないようにしないと。

清水さん、もとい春馬は午後から現場に出なくてはいけないことになってしまったので午後からいきなりあたしは一人でこの事務所で仕事をしなくてはいけなくなってしまった。

「もし、何かあればすぐに連絡しろよ」

そう言い残し、お昼休みもコンビニで買うからと出て行ってしまった春馬。さすがにこの事務所にいきなり一人ぼっちはちょっと寂しい。でも、それだけ現場職っていうのは大変なんだな。

どうして春馬はここで働いているんだろう?もちろん、ここの人はいい人たちだと思うけれどやっぱりイメージはスーツを着てコーヒーを飲んでいる大人の男性。それなのに今は口調が荒っぽい作業着の男の人。

それがいけないことではないんだけどあたしはあの清水さんに惹かれたんだよな。そう思っていると脳裏にさっきの光景がしっかりと蘇って頬が熱くなる。
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