政略結婚~天使に導かれて~
思い出の鎌倉
年末年始の件は、実家の両親にも話、許してもらった。

会社が休みに入ると、愛は、光太を連れて、悠太の車で鎌倉へ
向かった。

鎌倉は、愛にとって思い出深い場所であると同時に、悲しみ深い場所でも
ある。

「愛ちゃん、どうして鎌倉に来たかったの?」

「・・・・颯太の一周忌が終わって、なんだか颯太が段々時間と共に
 忘れ去られるようで・・・・・怖いんです・・・・・このまま、皆
 に中で、颯太が忘れ去られるように、私もそうなるのが、怖いんです。」

「愛ちゃん・・・・・・」

「颯太との時間は、確かに人よりは短かったけど、でも中身は濃かった。
 颯太との始まりは、それはそれは、最悪だった分、その後は、本当に
 一生分の幸せを貰ったようだったの・・・・。」

「そう言えば、二人の経緯を、僕は、知らないんだよね・・・
 教えてくれないか? 愛ちゃん?」

「へぇっ・・・経緯ですか・・・・・・」

「うん、なんか興味があるんだよね。兄さんは、女性に対しては
 結構クールだったから・・・・愛ちゃんといる時の兄さんは
 全く別人のようだったしね!」

「そうですね・・・・・じゃー、今夜、昔話をしましょうか!?」

鎌倉までの車中で、そんな会話をし、悠太は、大晦日までは鎌倉で
過ごし、年明けの3日の日に再び、愛と光太を迎えに来ることにして
おり、今日、明日の二日間は、鎌倉で過ごすことにしていた。

三人だけにはなるが、普段も似たような生活の為、愛は別に
気にもしていなかった。

最近、悠太は、愛を愛おしく想い、出来たら、光太と三人で生活
したかったが、未だ颯太を思っている愛に、どうしたら自分が愛の
心に入ることが出来るのか、模索中だった。

そして愛と颯太の、経緯を、自分は知らないことに気が付き
二人の経緯を知りたいと思ったのだ・・・。
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