悪いことは積み重なる様に、起きる。

 そのうち、私は不幸で潰れてしまうんじゃないかしら? なんて、バカみたいなことすら思えてきた。

 美味しいコーヒーを飲みに行くはずだった。

 なのに、それは叶わなかった。

 どうして、こうなるの?

 神様、私は何かしましたか?

 神様、私はもしかして、前世で悪人だったのでしょうか?

 私の足を止めたのは、まだ記憶に新しい、昨日の男性だった。

 「すみません!」と、声と同時に腕をグッと引っ張られ、視界が揺れる。

 ビックリして、振り向くと、予想外の人物。

 まさか昨日の男性だとは思いもよらず、私は目をパチクリ。言葉が出なかった。

 な、なんで??

 「助けて下さい」

 え?

 男性は、私に助けを求めてきた。

 なに? これ。どういうこと??

 新手の詐欺? 新種の、恋人商法的な??

 クエスチョンマークだらけの私を、男性はグッと更に引き寄せた。

 「貴女の助けが必要なんです。お願いできませんか?」

 とても近い距離で、フワッと男性の柔らかな髪が、風で揺れる。困り顔に色気を感じた。

 着物姿は、やっぱり見慣れない。

 キラキラって、言うか。目がチカチカ??

 この人、無駄に光を背負ってる気がする。

 似合い過ぎる着物姿は、この人の、本来もっている魅力を更に、引き立たせているように思えた。

 優雅に見える雰囲気と、ちょっとした、しなやかな動作。

 それはたぶん。自然と身に付き、作ったものでもない、培われたものなんだと思う。

 ズルい気がする………。

 背後に見える並木道の木々さえ、この人の魅力を上げる、小道具みたい。

 ドキッと跳ねる心臓に、自分でもビックリするくらい、私は戸惑った。

 いい男なことくらい、分かる。

 でも、男なんてロクなものじゃないから、美を理解できても、ドキドキからは私自身、無縁なんだと思っていた。

 私の中に女がいて、それを認めたくない私は、思わず彼の腕を振り払った。

 「いきなり、何を仰っているんですか?」

 助けられたにしては冷たく、私は問いかける。

 男性は目をパチクリとさせると、「失礼しました」と、私から手を離すと続けた。

 「簡単に説明させて下さい」

 はぃ??

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