私は「はぁ」と、溜息を吐くと、春登の部屋のチャイムを鳴らす。

 ガチャリと扉を開けた春登は、相変わらず光を背負っている気がした。

 無駄にキラキラし過ぎている。

 でも、絶対に素敵だとは思ってやらない。

 「やあ、いらっしゃい」

 笑う春登に、私は軽く頭を下げる。

 今時、『やあ』なんて言わないわよ。なんて、心の中で悪態をつきながら。

 「どうぞ」と、招き入れられた部屋。

 「おじゃまします」と入ると同時に、春登は振り返り笑った。

 「休日でも、その髪形なんだ?」

 はぃ?

 キツク一つにまとめ上げた髪。

 気が引き締まる気がして、つい、してしまう。

 あと、長い髪が邪魔だから。

 美容院に行くお金もなく、上手く自分で切りそろえる自信も無いから、伸ばし続けている。

 「貴方に関係ありますか?」

 私は春登を見上げて、問いかける。

 春登は首をふると、続けた。

 「いや、別に。じゃぁ髪はそのままにしておこうか」

 え? なにが??

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