春登に連れられたのは、会席料理を提供する、お店だった。

 店構えは、まるで京都の老舗を思わせるような、お店。

 これは……。と、思った通り。

 通された部屋は私が想像した通り畳で、しかも掘りごたつではなかった。

 部屋には厳選され、丁寧に作られたものだと分かる、美しい木目の大きなテーブル。

 一つの木から作られる立派なテーブルは、高額だと聞いたことがあるけど、まさにそんな感じだった。

 傍には掛け軸がかかり、部屋ごとなのか、ここが特別なのか、窓からは景色ではなく、小さな庭が見えていた。

 その庭には、小さな池の様なものがあり、ししおどしがある。

 庭は小さいけれど、まるで絵にかいたような、お見合い会場みたいだと思った。

 そんな非、日常的空間に、違和感なくいるのは春登や、その両親。

 想像通り、春登の両親は着物姿。

 相変わらず2人並ぶと、二輪の花のように、美しく見えた。

 例えるなら、そうね。比翼連理という言葉が、似あう2人。

 私の両親とは、大違い。とても、素敵な夫婦……。

 何だか、自分の母親を思い、苦しくなった。

 私なんか、この世に生まれなくてもよかった。

 だから、お母さんにはこんな風に、仲むつまじい夫婦になれる人と、結婚しててほしかったな……。

 なんて、思っていても、どうにもならないんだけど。

 目の前の素敵な夫婦は、ニコニコと、純粋に私に笑いかける。

 私の着物姿を、絶賛する春登の両親。

 特に春登の母親は、とても、嬉しそうだった。

 これは、罪悪感? チクチクしたものが、私の心に刺さる。

 でも。今更なにを感じても遅いのよ。と、私は心を切り替えるように、自分の身をシャッキと立たせて挨拶。

 そして、春登の隣りに座った。

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