□□□□□□□セクシー・コメディ□□□□□□□「コンクリート・ジャングル」
男達よ、私のララバイでお眠りなさい
力士の言葉通り、私は翌日から、それを実践した。
これが大好評だった。
男たちは、私から母のような愛を欲しがり、せがんだ。
電話がジャンジャンかかってきた。
私の部屋からは、満ち足りた男達に捧げる子守唄の歌声が漏れていたに違いない…
ヨネダがしみじみと私に言った。
「ありすさんの『夕焼け小焼け』聴いて、俺、田舎のお袋思い出しましたよ。ガキの頃、よく歌ってくれたなあって。
親父が死んで、女手一つで育ててくれたのに、俺、悪い仲間とつるんで、散々お袋泣かせてました。
17歳で高校中退して『都会で一旗あげてやる!』って、家を飛び出してから今日まで5年間、音信不通にしてたんだけど、急に会いたくなっちゃって。
こんな仕事やけど、一応働いとるし、この週末、田舎に帰って、肩でも揉んでやって親孝行すっかなあ…」
ヨネダの眼鏡の奥の目には、キラリと涙が光っていた。
「…で、なんで辞めるの?」
力士は5本目のピアニッシモに火を点けた。