社内恋愛のススメ
『デート』



恋の予感なのかな?

そう思った時には、既に恋に落ちている気がする。



その人がそこにいるだけで、世界が変わる。


自分を取り巻く環境は、何も変わらないのに。

世界は何1つ、その形を変えてはいないはずなのに。


きっとそれは、見方が変わってしまうから。

自分自身が、少しずつ変化を遂げているからなのだと思う。



今まで見逃していた、素敵なもの。


周りの景色。

空の青さ。

都会にポツンとある、木の緑。


どうでも良かったことが、見方を変えただけでとても素敵に目に映る。



仕事。

人間関係。


退屈だと思っていたことも、見方を変えただけで退屈ではなくなる。





恋って、魔法。

不思議な不思議な魔法。


人生を素敵に見せてくれる、不思議な魔法。

そう思わない?



私の日常もまた、あの人の魔法で変わろうとしていた。






上条さんが本社に戻ってきてから、1ヶ月。


部長が無理矢理開いた、歓迎会。

上条さんの主任昇格を祝う為に開かれた、歓迎会。


あの夜から、私の日常は少しずつ変わっていった。



変わったこと。

それは、仕事の内容ではない。


いつもみたいに、書類とにらめっこ。

パソコンのキーボードを叩いて。

新しい企画を考えて。


仕事の中身は、以前と何ら変わらない。



いつもと変わらない毎日。


しかし、変わったこともある。



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