炭酸アンチヒーロー番外編

彼女的幸福論

「ヒロくん、遅いなー……」



ベッドに寄り掛かりつつそう呟いた私は、ちらりとテレビに表示された時間を確認する。

……午後11時半過ぎ。これはもう、午前様決定かなぁ……。

頭の中でそう考えつつ、私は小さくため息をついた。


今日は金曜日で、ヒロくんは大学の野球部の人たちとの飲み会があるらしい。

日付が変わる前には帰ってくるからと、彼がひとり暮らしをしているアパートで待っているように言われたはいいものの、時刻はすでに約束の時間目前。



「どうしよ……先に寝ちゃってようかな……」



寄り掛かったベッドに頭を預けて天井を見上げ、また寂しく独り言を呟いたそのとき。


カチャン


「……あ!」



玄関から聞こえてきた鍵の開く音に、私はガバリと上半身を起こした。
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