台所ではタキさんが夕食の準備をしていた。
やる事も特に無い私はタキさんのやる事をただぼんやりと眺めてお茶を飲んでいた。

そして私は何となく、本当に何となくだったけどタキさんに声をかけた。
「私も何か作りたいな」

料理は毎日のように家でしていたので苦手ではなかったのと、いつもタキさんにばかり作らせて申し訳ないという思いがあった。
それと私の作った料理を旺介さんに食べてもらいたいという思いもあったのかもしれない。

タキさんは驚いたようだったけれど
「どうぞご自由に作ってください。足りない材料があればご用意いたします」
と笑ってくれた。

足りない材料なんてあるわけがない。
ただ舌の肥えているであろう旺介さんに私の作る料理を出しても良いものだろうか。

大丈夫。
この家にある高級食材はきっとどう調理しても美味しいはずだ。

どうせなら旺介さんが見た事も食べた事もないものを作ってやろうと変な方向に張り切っていた。