今朝、旺介さんはまだ家にいるようだ。
昨日仕事がひと段落したと言っていたから、早くに家を出る事もしばらくは無いのかもしれない。

出勤時間がいつも通りならそれまでにはまだ時間がある。
私はある考えが浮かんだ。


「おはよう、葵」
朝食を食べる為に旺介さんが席に着く。
私はその横に駆け寄った。

「どうした?」
不思議そうに尋ねる旺介さんに包みを差し出す。
旺介さんはそれを眺めているが何かなんて分かっていないだろう。

「お弁当を作ってみたんですけど」

旺介さんはいまいち理解していないようで
「お弁当って、誰の?」
と私の顔を見る。

「旺介さんに、と思って作ったんですけど」
迷惑だっただろうか。
お昼なんて外食だろうし予定もあるかもしれない。

旺介さんはじっとお弁当を見つめている。
「僕に?」
「はい、ダメでしたか?」
「いや、そうじゃない。こんなのは初めてで・・・驚いたな」
そう言ってお弁当を受けとると
「嬉しいよ、ありがとう」
と微笑んだ。

旺介さんが何を喜んでくれるかは分からない。
だからとにかく家族らしい事をしてあげたいと思ったのだ。
契約が切れた後、私といた半年間を少しでも楽しかったと思ってほしい。