最近また旺介さんの帰りが遅い。
最後に夕食を一緒に食べたのはもう1週間も前だ。

旺介さんと過ごすのもあと2週間。
このまま何事も無く終わってしまうよりは何か行動を起こしたほうがいいのでは、私はそんな事を思っていた。

どうせもう二度と会える事もないのなら、相手にされなくても好きだと伝えたほうが後悔しないかもしれない。
一日一日と終わりの日が近づくにつれて私の心は焦っていた。

時計の針が23時をまわった頃、私の部屋のドアを誰かがノックした。
「葵、ただいま。入ってもいいかな」

旺介さんだ。
こんな時間にこの部屋に来るのは珍しい。

「はい、どうぞ」
玄関から直接来たであろう旺介さんはドアを開けてすぐにネクタイをはずす。
こんな何気ない仕草をいつも見てきた。
今はもうそれらを見られなくなる事を寂しく思う。