ストロベリーショートケーキ
「でも、あの人しょっちゅう絆創膏つけてんじゃない。あれって喧嘩してケガしてるんじゃないの?」



その笑花の問いに、あたしは思わずくすくすと笑う。



「ああ、あれねぇ、花井くん家で猫飼ってて。でもなかなか花井くんになついてくれなくて、いまだにしょっちゅう引っかかれちゃうんだって」

「はあ?!」



冗談みたいなあたしの言葉を聞いて、笑花が呆れたような声を出した。

でもすぐに気を取り直して、また質問を開始する。



「じゃ、じゃあ最初のアレは? ほら、学食でトーコのこと呼び出したとき。おそろしく上から目線だったじゃん」

「花井くん、人見知りだから。あのときすっごく緊張してて、ついあんな口調になっちゃったんだって」

「……それなら、いっつもガンつけてるような感じでまわり見てんのは?」

「あー花井くん、目が悪いんだよ。メガネだと邪魔でコンタクトは怖いから、裸眼のままなの」

「怖い、ってあの図体で……」

「ふふ。だから物をよく見ようとすると、ああいう風に目を細めて睨んでるみたいになっちゃうんだよ」

「……はあ」



あたしのこたえがよっぽど思いがけなかったのか、笑花はすでにさっきまでの威勢がなくなっている。

まあ、相変わらず、釈然としない様子は崩れないけども。
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