きみと泳ぐ、夏色の明日
4M  水魚が呼吸を止めるとき


そして次に須賀が起きたのは午前中の授業が終わった昼休み。隣で購買のパンを食べながらクラスメイトの男子と楽しそうに話している。


「すず、お弁当のおかずちょっとあげようか?今日作りすぎちゃってさ」

「本当?ありがとう」

私はいつものように紗香とお昼を一緒にしていた。


紗香は毎日お弁当を自分で作っていて女子力はかなり高い。一方の私はコンビニでおにぎりを買うか学食で適当に済ませている。

そんな中、イヤでも聞こえてくる隣の須賀たちの会話。


「なあ、週末プール行こうぜ!水着の女子を拝みにいかないと夏って感じがしねーじゃん?」

男子は口を開けば「彼女ほしー」「出逢いがない」ってそればっかり。どんだけ女に飢えてんのって感じ。

そんなバカなノリに須賀は食いつくと思いきや、「はあ……」と露骨にため息をついた。


「休日にプールなんて行きたくねーよ。普段どんだけ泳いでると思ってんの?それに水着の女なら毎日見てるって。全然萌えないし、なにも感じないね」

「水泳部の水着とビキニじゃ違うだろ!」

「水着自体にもう免疫ついてんだって。裸で泳いでるなら行く」

「それプールじゃなくて風呂じゃん!」

あはは、とうるさい笑い声に私は冷めた目で須賀のことを見た。


「おい。お前明らかに引いてるだろ」

「………」

目が合ってしまい、そう言われたけど無言で食べかけだったおにぎりを口に入れてお茶で流しこんだ。

引いてるって?

うん。かなりね。

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