スイート・プロポーズ
夜の帳に...

小宮 円花、今年の7月で26歳になる。

大手化粧品メーカー【ミルフルール】の広報部で働いて4年目。

この仕事にも慣れてきて、とりあえず半人前からは脱しただろうと思う今日この頃。


「水やり終わり、っと」


朝の誰もいない広報部に一番乗りするのは、大体決まっている。

円花か、部長の夏目 優志。

今日は円花が一番乗りだった。


「コピー用紙の補充も良し。デスクも綺麗に拭いた」


朝の内に済ませておける雑務を片付けるのが、彼女の日課だ。

部長の夏目は、先に来ていても観葉植物の水やりくらしかやらないが。


「ん〜! 今日もいい天気」


自分のデスクに戻り、いそいそと文庫本を引き出しから取り出す。

朝の日課のひとつに、この読書も含まれる。


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