茜色に染まった空。

朱の光が雲の色を変え、大きな純白の躰までも染め上げる。

力強く羽ばたき、悠然と空を駆けていくのは鳥獣の長。

紗矢は黙ってそれを見上げていた。


『主、誰に力、分け与えるのか』


不意に声が聞こえてきた。

それは自分の記憶の中から現れ出た声なのか、それとも空高い場所で滑らかに飛び回ってるあの鳥が直接話しかけてきた声なのか、紗矢には分からなかった。


『誰に添い、生きる』

(私は……)


脳裏に浮かぶのは、峰岸卓人の可愛らしい笑顔と、越河珪介の涼しげな顔。

唇を引き結べば、ばさりと足下に何かが落ちた。

裸足のつま先が濃紺に覆い隠されている。

五之木学園のブレザーだ。

明らかに自分の体よりも大きなそれが、紗矢の冷え切った素足に柔らかな温かさを与えた。

ホッとし息を吐けば、ブレザーから細かな光が立ち上り始めた。


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