目の前の鏡に映る制服姿の自分を何度も何度も確認したのち、紗矢は安心したように短く息を吐いた。


「大丈夫。見た目は、変じゃない!……でも」


改めて鏡を見れば、露骨なほどに紗矢の口元は引きつっていた。


「良いですか、紗矢。貴方がこれからの一年を過ごす場所なのですから、笑顔で始まりを迎えなさい……後悔をしないように」


亡くなった祖母の口調で、鏡の向こうにいる自分へ諭すように話しかけた。

無理やりに口角を上げてみたけれど、祖母効果はあまり無かった。

それどころか、眉毛がだんだんとハの字になっていく。


「困った」


今日は高校二年の始まりの日である。


「これから一年……私、もつかな」


学校自体は、一昨日に始業式、昨日は入学式と、もう既に新学期が始まっているのだけども、祖母の一周忌で休みをとっていた紗矢にしてみれば、今日からが新学期なのだ。

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