「どうぞ!」

「あ、ありがとう」


卓人が引いた椅子に腰掛けてから、紗矢は居心地が悪そうに部屋の中を見回した。

自分の家のリビングより二倍は広いだろう部屋の中心に、五メートルほどの長テーブルが設置されている。

木目調のテーブルの周りには沢山の椅子が並んでいて、そのうちの一つに今、紗矢は座っている。


ここは、峰岸家のダイニングルームである。


後ろ髪を引かれるまま自宅を後にし、黒の高級車で連れてこられた峰岸家は、白を基調とした大きな洋館だった。

広々とした芝生の庭に面するようにテラスが造られていて、小さなテーブルと椅子がいくつか置かれていた。

上階には宙に突き出すようにバルコニーがあり、テラスの屋根としての役割も果たしていた。

林の中に佇む大きな館をじっと見上げていると、まるでここに外国の一部が紛れ込んでしまったかのように思えてくる。


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