夜気が体の芯を凍えさせ、時折吹く風が悪戯に髪の毛先を舞い上げていく。

卓人に手を引かれ、紗矢は夜の町を走り続けた。


(長は、どこまで行くんだろう)


夜空を滑空する鳥獣の長は、一向に地上へ降りてくる気配はなかった。

車の通りが途絶えた道路は、信号だけが静かに色を放っている。

卓人は紗矢を連れたまま道路を横切り、住宅街へと踏み込んでいく。

直線に飛んでいく長に対し、卓人と紗矢は家々の角を何度も曲がりながら進んでいく。

息を切らし視線を落とせば、紗矢の目の前に真っ直ぐな道が現れた。

ぼんやりとした街灯の明かりが、等間隔でずーっと遠くまで並んでいる。

この道がどこまでも続いている。

そんな錯覚が目眩を誘い、紗矢は少しだけ恐くなった。


「ねぇ、峰岸君……長はどこまで行くつもりなのかな?」

「もしかしたら、だけど。五之木学園に向かってるのかも」



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