すると鳥は気持ちよさそうにグルルと喉を鳴らし、紗矢の手の平にその体をすり寄せてきた。

自分に懐いてくれているような行動に、紗矢は嬉しくなって笑みを浮かべた。

ひとしきり撫で回した後、紗矢はやっと自分のいる場所に目を向け、ごくりと唾をのむ。

生い茂る木々の隙間で、「何か」の影が動いたのだ。

その数、一つや二つではない。

林を包み込んでいた霧も、紗矢の恐怖心を煽り出す。


――……飲み込まれる!


ゆらゆらと揺れながら霧が近付いてくるような錯覚に陥り、紗矢は身を竦めた。


「ここはどこ? お祖母ちゃん!」


発した声は震えていて、心細さまで増幅する。

カサカサと草が揺れ恐怖に身を震わせれば、小鳥が低く鳴き、紗矢の腕から飛び立った。


「あっ、待ってよ! 一人にしないで!」


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