「まさか、こんなことになるなんて」


卓人は両手を広げ、笑みを浮かべた。

夜空を舞っていた灰色の鳥獣が、卓人の上空で身を翻す。

紗矢の前に立つ赤と青が、体勢を低くした。


「参ったなぁ。刀も何も持ってきてないっていうのに」


お手上げだよという響きで紡がれる言葉とは裏腹に、場が卓人の殺気で埋め尽くされていく。


「どうやって、君たちをいたぶろうかな」


卓人の口が弧を描く。

広げていた手を力強く握りしめた瞬間、灰色の鳥獣がランスとソラに向かって急降下した。

もちろん地上にいる二匹も弾かれたように舞い上がり、応戦を開始する。

二対一と数の上では優勢だが、やはり他の二匹と比べると、ランスには俊敏さが欠けていた。

昼間の痛手が尾を引いているのだ。

それをランスも理解しているようだった。

青い鳥獣、ソラのフォローに回っている。


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