坂をくだり赤い橋を渡れば、慌ただしかった珪介の足音が、落ち着いたリズムに戻っていく。

紗矢は珪介の肩を掴んで、今来た道をじっと見つめた。

駆けゆく風に翻弄されるように、木々がザワザワと葉を揺らしている。

視線の高さが違うからか、それとも自分を取り巻く環境が変わりつつあるからか、学校へと続く坂道が全く違う景色に見えた。

眠けに飲み込まれそうになるのを堪えながら指先に力を込めると、今朝見た光景がふっと脳裏を過ぎった。

目映い朝日の差すこの坂を、並んで登って行く二つの背中。

珪介と若葉。


「越河君」

「何?」

「……大丈夫。私、降りる。学校までだって走って来れたんだから、ちゃんと一人で歩けると思う」

「お前、走ってきたのか」


珪介の腕の上で身じろぎをすれば、大仰なため息が発せられた。


「降ろさない」

「でも、私重いし」


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