窓から身を乗り出した紗矢の眼前を、灰色の体がつむじ風の如く通り過ぎていった。


「え?」


晴れ渡った空へ、似通った鳥たちが舞い上がっていく。違っているのは色彩だけだ。


(ランスの仲間?)


灰色が赤色の羽に嘴を突き刺し、ランスが悲鳴のような鳴き声を上げた。


(違う……攻撃してる)


灰色の鳥が追い払うような仕草を見せ、紗矢は拳を握りしめた。


「紗矢ちゃん!」


突然、下から声を掛けられ、紗矢は真っ青な空から玄関前へと不機嫌な瞳を向けた。


「お早う」


紗矢の様子にはお構いなしに、家の門に寄りかかっていた姿が、ゆっくりと前へ進み、軽やかに片手を上げた。


「……み、峰岸君? どうしたの」

「紗矢ちゃんと一緒に登校したくて。こっそり待ち伏せしてたんだ」

「私と、一緒に?」

「そうだよ。早く降りてきて、お願い。待ちくたびれちゃった」


そう言って、峰岸卓人(みねぎし たくと)は可愛らしい笑みを浮かべた。


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