外気の冷たさ。家の建ち並ぶ景色。それらに目新しさなどない。

けれど、自分の現状に妙な居心地の悪さを覚えてしまった紗矢にとっては、いつもと違う装いの朝となっていた。

違和感の原因はいくつかある。

一つ目は、祖母が亡くなってからの一年間、肌身離さず身に着けていたあのブレスレットが、今、左手首で重みを発していないということ。

真っ二つに割れ崩れ落ちてしまったあの石たちは、小さなビロードの袋に入れた状態で、鞄の内ポケットの中に仕舞い込んである。

一応持ってはきたけれど、やはり自分の体から切り離してしまった感は拭えない。

二つ目は、木の枝をガサリガサリと揺らしながら追いかけてきている、灰色の鳥……数分前に、ランスに危害を加えていたあの鳥の存在である。

鷹のようであり、そして二つの長い尾ひれを持つ身体的特徴からして、ランスと同じ種であることは間違いないだろう。


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