「忠実叔父さん。車に薬は乗せてありますか?」


テーブルの下に置かれていた黒いバックの中身をごそごそとあさりながら、祐治が忠実に問いかけた。


「紗矢さん、結構足首の痛みを我慢してると思います。痛み止めの薬を出してあげた方が良いです」

「あぁ、そうだね。持ってきてると思うから、探してみて」

「はい」


そう言って車のキーを祐治に手渡すと、忠実は表情を改めながら舞の隣へ腰掛けた。


「さて。話を続けましょうか」


忠実は目の前に座る紗矢の父親を、じっと見つめる。

普段、紗矢の父親は朗らかで物静かな男であるが、今はその表情をはっきりと強ばらせていた。

これ以上話に乗り遅れないようにと、紗矢も忠実の言葉に耳を傾ける。


「力を持つだけじゃなく刻印を受けたからにはもう、紗矢さんに護衛を付けるのは絶対です」


母も父の隣の椅子に腰を下ろし、深刻げに眉根を歪めた。


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