伊月の見物するかのような視線にも耐えられなくなり、紗矢が「やめて」と大声を上げれば、卓人は悲しげに体を離した。


「慣れてくれないかな……僕はどっちかって言うと、スキンシップ過多なタイプだから」

「なんで慣れなくちゃいけないのよ!」


ムキになって叫び返せば、途端に卓人はふて腐れ顔になる。

しかし校舎にちらりと視線を向けた後、思い直したように頷くと、可愛らしい表情に戻っていく。


「まぁ、いいや。そのうち、そっちから僕に抱きついてくるだろうし……今はどちらかというと、アイツ等に牽制しておくべきだよね。紗矢ちゃんは僕のモノだって。きっちりとね」


卓人は紗矢の手を掴むと、そのまま手の甲にキスをした。


「っ!?」

「紗矢ちゃんが刻印を押されれば、すぐ世代交代が始まる。君は求慈の姫になり、そして峰岸の当主となった僕のフィアンセになるんだ」

「ふぃ、あ」

「仲良くしようね!」


紗矢は短い唸り声を上げたあと、項垂れたのだった。


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