「入れるに決まってるよ。できれば、次期当主同士として手を組ませてもらいたいくらいだ」


篤彦の少し厳しさのこもった声音に、珪介は足を止め、ゆっくりと振り返った。


「四兄弟で一番弱い草食系に、そんな願望押しつけんなよ」 

「ごめん。根に持たないで。あれは間違えだったよね。珪介は草食系じゃない……粗食だ。しかもわざとそうしてる」


ぴくりと珪介の眉根が反応する。


「何の話」

「あれ? 俺が気付いてないとでも思った? 刻印を押すに値しない女ばっかり喰らってるくせにその力。賞賛に値するよ……そして、どうして刻印有りを喰らわないのか。珪介は分かってるからだよね。喰らったら自分が越河家の次期――」

「次の当主は蒼一(そういち)兄さんだから。何があってもそこは揺るがない」

「でも――」

「俺が揺るがせない!」


反論を許さないかのように玲瓏な声音で珪介が告げる。

踵を返し離れていく珪介の後ろ姿を見つめながら、「もったいない」と篤彦は小さく呟いたのだった。


この作品のキーワード
ファンタジー  甘い  切ない    一途  微和風  恋愛 

感想ノートに書き込むためには会員登録及びログインが必要です。