(きっとこれ、峰岸卓人効果だ)


今は授業と授業の間にあるちょっとした休み時間であるが、紗矢は自分の席にじっと腰を下ろしたまま、動けなかった。


(……もう、イヤ)


周囲を見ないように俯き、膝の上で拳を握りしめ、早く授業が始まることを願った。


「どうしたの? 気分悪い?」

「あ、ううん。大丈夫。何でもないから」


慌てて顔を上げれば、前席の子が心配げに自分を見つめていた。


「そう? だったら良いけど。私、尾島京香(おじま きょうか)……えーっと、片月紗矢ちゃんだったよね?」

「うん。よろしくね、尾島さん」


肩ほどの長さの髪は、ふわふわと緩やかなウェーブがかかっている。

柔らかく笑う彼女にとても良く似合っていた。


「京香でいいよ……あっ、また来てる」

「え? あ……うっ」


予告なく、京香の大きな瞳がきらりと輝き、紗矢はついその視線の先へと目を向けてしまった。


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