すぐに後悔する。

通りすがりに教室の戸口から中を覗き込んだ数人の女子と目が合ってしまったからだ。

痛みを伴う鋭い視線が突き刺さり、紗矢は短い悲鳴を上げながら再び顔を伏せた。


「あの子たち、大好きな卓人君を取られたような気持ちになってるんだろうけど……だからって、文句がちな顔で廊下をうろうろされると、端から見てるこっちも、いい気しないなぁ」


白けたような目つきで遠くを見つめながら、京子は囁くように自分の意見を述べた。


「ねぇ、いつから卓人君と付き合ってたの?」

「えっ!?」

「今朝、卓人君と紗矢ちゃん、校門前で抱き合ってたじゃん。見てるこっちまで、仲の良さが伝わってきたよ」

「ちょ、ちょっと待って。あのね、それは――」

「あんな仲の良さを見せつけられたら、私だったら、もう太刀打ち出来ないなって思うよ。だったらね、卓人君だけに拘らないで、他に目を向けた方が良いかな」



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