地面に落ち、悶えうごめきながら、激しく燃え上がっているそれを見て、紗矢は胸の前で拳を握りしめ、唇を噛んだ。


(私……これ。知ってる)


子供の頃、迷子になったあの時に、自分に襲いかかってきたモノだ。

祖母の左足、そして左手がボロリと落下する。

それらは黒い毛の塊へと姿を変え、再び紗矢へと向かってきた。

がしかし、同じようにランスが羽ばたきを繰り返し、同じように炎の渦に閉じ込められた。


「……ランス」


目の前の祖母じゃないモノに意識を集中させているランスの邪魔にならないように、紗矢は小さく呟いた。


「ありがとう」


感謝を込めてぽつりと声にすれば、赤い羽先がぶるりと痙攣した。

紗矢は目を凝らし、そして気付いた事実に大きく目を見開いた。

ランスの羽から、赤い液体がぽたりぽたりと滴り落ちた。

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