「血が」


炎の威力も、先に燃え上がった個体と見比べれば、明らかに低下している。

炎に包まれたこの三つの塊は、ランスの羽に触れただろうか。

そんな疑問を持ったが、すぐに紗矢の中で「多分きっと、触れてはいないだろう」という結論に至った。

ランスの傷は、今さっきの攻防で受けたものではない。

今朝受けたものだろう。

目撃した灰色の鳥とランスのやり取りを思い返しながら、紗矢は唇を噛んだ。

あれはやはりじゃれていた訳ではなかったのだ。攻撃を加えられていたのだ。

ランスの羽の震えは収まりそうもなかった。

紗矢はランスへと歩み寄り、痛々しい姿となってしまっている祖母のようなモノへ目を向けた。


「……越河君、どうしよう。ランスが」


自分の口をついて出てきた言葉に驚きつつ、この鳥の飼い主の顔を脳裏に浮かべれば、ランスがグルルと喉を鳴らした。


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