息を荒げながら捲し立てたが、珪介の唇の端が切れていることに気がついた途端、頭まで昇っていた血が急降下する。

珪介は傷口をぺろりと舐めたあと、落ち着いた口調で問いかけた。


「誰の力だ」

「え?」

「今のは峰岸でも、五家の誰かでも、お前の力でもない」


珪介の真剣な声音に、紗矢はゆっくりと首を傾げた。


「だから……何を言ってるか、さっぱり分かりません」


その返答に珪介が口ごもった時、ランスが羽をバサリと広げ警戒の声を発した。

ちっと舌打ちし珪介は踵を返すと、紗矢に背を向け、腰に携えてあった刀を引き抜いた。

刀の柄を両手で掴み、挑むように構えた彼の視線の先には、池の中に上半身を沈ませたままの幼い珪介がいる。


「おい、片月」


それがブクブクと泡を立て始めれば、目の前に立つ珪介の纏う空気も変わりだした。


「死んでも、俺らを恨むなよ」


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