新堂先生は、一番奥の駐車場に車をバックで入れて停止させた。
 エンジンを切り、シートベルトも外すと、肩越しに私を見つめてきた。

「僕は別に、君に隠しごとをする気は更々ないよ。確かに、君以外の女性と付き合ったことだってある。けどね、そんなのをいちいち教えていたらキリがない」

 新堂先生の手が伸び、私の頬にそっと触れた。

「過去はどうあれ、今、僕が一番大切だと想うのは君だけだ。いや、君と初めて雪柳の前で出逢った頃から、君以外の女性は全く目に入らなかった。君を――理紗を他の男になんて触れさせたくないぐらい、僕は理紗が好きで堪らないんだよ……」

 そこまで言うと、新堂先生は私に顔を近付ける。

 私は瞼を閉じた。初めて口付けを交わした時のことを想い出しながら、新堂先生のキスを受け止める。

 鼓動が、トクトクと鳴り続ける。
 二度目のキス、そして、『理紗』と呼ばれた心地良さ。
 ふたつの感情が重なり合い、私の心に幸福な気持ちが温かく広がった。

 やがて、新堂先生の唇が離れた。
 私はゆっくりと瞳を開き、新堂先生に向けて微かな笑みを浮かべる。

「これで、僕の気持ちが伝わった?」

 いつもの優しい眼差しで、新堂先生が訊ねてくる。

 私は大きく頷き、指先で新堂先生の輪郭をなぞった。

「私も、先生のことが好きです。だから信じます。――先生が、ずっと私だけを見つめ続けてくれることを……」

「うん」

 新堂先生は私の手をやんわりと掴み、代わりに額をくっ付けてきた。

「僕はこれからも、理紗を大切にするよ。理紗も、ずっと僕の側にいてくれたら……」

「大丈夫ですよ」

 私は口元に笑みを湛えながら、続けた。

「私、どんなことがあっても先生から離れてなんかやらないんですから」


[好きだから-End]

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