ハロー、バイバイ!
出逢い


その会社は、美紗が派遣になって二年、
あちこち行った中で、一番排他的な職場だった。


「えっと…はじまして。
黒木美紗です。
今日から皆さんとお仕事させてもらいます。よろしくお願いします」


五月連休明けの月曜の朝礼。


美紗がCADオペレーターとして
設計一課、二課総勢20人程の社員たちの前で挨拶をした時、皆の反応はほとんどなかった。

月曜日の朝だったせいか誰かの
「ふう…」と言う溜息みたいな返事が返ってきただけだった。


(だから、嫌だったのに…)


ぺこりと頭を下げたあとで、隣に立っている設計部のメタボで禿げ頭の部長を
美紗は軽く恨んだ。


(新入社員じゃあるまいし、いちいち、
派遣先でこんな風に挨拶なんかしないって~…)


新しい派遣先の会社に行ったら、担当者に挨拶をして、データ貰って、指示通りに図面を描く。

前からいるみたいに仕事を始める。
それが常だ。


それなのに、朝、ぽんぽこ狸のメタボ部長は酒焼けの顔面に、にやけ笑いを浮かべながら言った。


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