2011年12月6日。
この日初めて、気分転換も含めて、優を俺が所属している弓道場へと連れて行った。
先生に挨拶をすませて見学させる。
身体はきつそうだが、目には少しだけ光がさしているようにも見えた。

「どう?」
「帰りたい。人がたくさんいて怖い」

怖いか…逆効果だったか?

「でも楽しい。うまく言えないけど」
「そっか。よかった。久しぶりに楽しいって言ってくれて」
「うん」

本当に久しぶりに聞いた言葉だ。前向きになるきっかけになるかもしれない。
優たちは何人もの人格が存在しているせいか生活する上でたくさん境を作っていた。
境というよりも世界と言った方が正しいのかもしれない。
切り替えながらじゃないと日常生活がなりたたないから、そういう生活のスタイルになっていったのかもしれないが、道場にいるときの優に精神的な不安定さを、この日はあまり感じなかった。俺から離れることはできなかったものの落ち着いて見学もできていた。

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