眼鏡の裏にSな君
_____「よしっ!お疲れ!終わりな!」

「よかったー!疲れたぁあ!」

「真面目にありがとな!」

「はいっ、…あっ先生!」



こんなチャンス…滅多に無い。

メアドとか、聞けないかな?


でも、もし断られたらどうしよ…


あああっ、もうどうしたら…





「あああっ!先生っ!どうしたのぉー?」




…!



…ゆ…い?


「ん?ああ、吉井か」

「何ですかぁその言い方!…あっ、かりん!様子見にきたの!まだ終わらない?」

「あっ、うん…終わったよ!ありがとうね、唯」

「うん!…ああああっ!そおだ!先生メアド教えてよおっ!前クラスの子に教えたんでしょ?」




…ズキンっ



どういう事?



クラスの子にメアド教えた?


じゃあ、唯も聞けちゃうって事?


やだっ…


唯ならきっと毎日メールするだろう。



私の勇気とドキドキは、なんだったんだろう?

私だけがドキドキしてたんだ_____。


無駄だったの…?全部…



「おお、ええけど、クラスの奴には教えてないで?」

「ええっ?じゃ、あたしだけ?やったぁ、嬉しいっ!ありがと!」

「おう、じゃ紙に書くか?」

「うん!」




私は、気づいたら走ってた。



苦しかった。





嫌だった。





もう、消えちゃいたい。







いっそのこと、唯なんかいなくなれっ…




先生の前からっ…



もう嫌だ。



こんな事思いたくないのに…










私はもう、一度も振り返らずに家まで走った。











___________勝手に流れる涙も忘れて。











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