助けてほしい。

本当に心の底からこんなに助けてほしいと願ったかつてあるだろうかと思いながら有紗は会社に急いだ。

自分の中の整理がつかず、すぐにでも誰かに話を聞いてほしかったけど彼氏持ちや家庭持ちには突発で誘うのは躊躇われたのでなんとか我慢した日曜日。別に大学時代の友達でもよかったけど、あとあと話がややこしくなりそうな予感がしたのでやめておいた。

だから今、救いを求めて会社に急いでいるのだ。

「舞さんみちるさん。舞さんみちるさん。」

念仏の様に2人の名前を呟きながら超がつくほどの早足で改札をすり抜けて職場に向かう。確実にみちるに会えるのは昼休み、同じ室の舞ならすぐにでも話を聞いてもらえる。

早く吐き出して少しでも心を楽にしたかった。

「舞さんみちるさん。舞さんみちるさん。」

あと少しで部屋に着く、研修明けの日は仕事がたまっている為いつも舞は早めに出社している筈だ。だったら今回ももう既にいる可能性が高い。

「舞さん舞さん舞さん。」

狙いはもう吉澤舞に絞った。有紗はひたすら舞を求めて歩き続ける。

「おはようございます。」

IDカードをかざしてロックを解除すると部屋へ繋がる扉が開く、有紗はすり抜けて自席がある島へ向かった。

「おはよー。」

いつもの景色である君塚がのんびりとした声で有紗を迎える。舞を探すにはまず出社しているかを確認しようと行先掲示板であるホワイトボードに視線を向けた。

「え…。」

そして悪い知らせを受け取ってしまう。

「あ、あれねー。研修延びたらしいよ。」

「嘘でしょ…。」

吉澤舞の欄に研修と書かれているのは先週から変わりない、しかしその横に記された日付が変わっていた。木曜日までに伸びていたのだ。

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