私は彼に愛されているらしい2
「週明け、クールな有紗が見れるのかな?」

「みちるさん…。」

味方だと勝手に思い込んでいたみちるがまるで敵陣の大将のように思えて有紗の感情に寂しさが追加された。

「もし何も無かったとしても…。」

そう言葉をためて窺うように有紗を横目で見るみちるは本当の意味で魔性の女だと有紗は泣きたい気持ちになる。

悪い女だ、絶対にこの人は悪い女だ。

優しい顔してその裏に意地悪な感情を隠している、惑わせて逃げ場をなくして落としていくんだ。

怪しく微笑むみちるの姿に心もとない気持ちが加速していくのが分かる。きっと聞いてしまえば白旗を振ってしまうのだと有紗は確信していた。

「そんなモヤモヤした感情を1人で抱え込んでいられるのかな?」

「無理~私負けそうです~。」

「あははは。超楽しみ!しばらく退屈しないわ~。」

相談する相手を間違えたのかもしれない。

結局すっかり食欲をなくしてしまった有紗は舞やみちるに促され、やっとの思いで半分ほど食べて残してしまった。まだ終わっていない図面の提出に向けてとりあえずのエネルギーを確保しただけよしとしよう。

「疲れた。」

有紗の呟きに笑うだけで先輩2人はまた仕事へと送り出した。

午後からの激戦も乗り越えていかないといけないのだ。有紗は気合を入れた歯磨きをして再び戦いの場所へと向かっていった。


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