幸せの掴み方
寂しい幼少期
柚葉が小さい時に、両親は離婚した。

そして小さかった柚葉を、両親のどちらも引き取りたくなくて、お互いに
押し付け合った・・・・

「君は、柚葉の母親だろうに、君が引き取ればいいだろう!!」

「あなたこそ、柚葉の父親でしょう!私には、今は経済力もないし
 やりたい事があるのよ。あなたが引き取ってよ!!」

小さいながらに、自分は、両親にとって、邪魔な存在でしかなかったのを
その時、理解した。

両親は、揉めて、結局父、笠原 正二が、柚葉を引き取ることになったが、
仕事が忙しい正二が、柚葉の面倒なんか看れるはずもなく、正二は、
柚葉を近くに住む、祖父母に預けて、自分は殆ど独身と変わらない生活を
送っていた。

祖父母は、両親と違って、孫の柚葉に、愛情を沢山注いでくれた・・・・

しかしその幸せは、長くは続かず、祖父母達と一緒に生活をして、2年が
過ぎた頃、祖父が亡くなり、祖母と二人になった時、正二が再婚するの
を機会に、柚葉は、再び正二とその再婚相手の博美と生活するように
なったのが、柚葉が小学校に上がる時だった。

正二は、相変わらず柚葉には興味がなく、博美も柚葉に対しては
最低限の世話をするだけで、そんな柚葉を心配した、祖母の加代子
は、学校帰りや休日には柚葉を預かり、柚葉に愛情を注いでくれていた。

祖母達の愛情のお陰で、捻くれる事はなかったが、両親の離婚時の
喧嘩がトラウマになって、柚葉は、大人しく手のかからない子供に
成長していった。

やがて博美は妊娠し、柚葉と8つ離れた女の子を出産し、
名前を、瑠菜と名付けた。

瑠菜は、愛くるしいくらい可愛く、正二も博美も可愛がり、
柚葉も、瑠菜が可愛かった。

そして瑠菜は、柚葉が大好きで、いつも

「お姉ちゃん、大好き!!」

と、柚葉の後を追いかけたり、抱きついたりして・・・・・

柚葉にとっての、瑠菜は、まさしく家族の中で、唯一の癒しであった。

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