あの時も、これからも
2

残る側と去る側と

季節は3月

年度末ということもあって最近はかなり多忙

気が付くと日が昇って、まだ布団にいたいという願望を押しのけて何とか出勤

やらなければならない仕事や日常の仕事をやっているうちに気が付いたら太陽はとっくに水平線の彼方だ

それにかこつけて海斗と二人で過ごす時間が減っている

まー、付き合って4年目も数えると別に毎日毎日二人だけの時間が欲しいということも無くなるのだが

それでもやっぱり二人でたわいのない話をしながら缶ビールを飲み進めたいなーなんて思う

「立花先生、これよろしくお願いします」

声をかけられて振り向くと医局のドアを器用にあけて、山積みのカルテをしるふの机に置く莉彩がいた

「了解です」

その量に内心うっわ、と思いながらもしるふは快く引き受ける

「莉彩さ、あんまり無理しないんだよ?」

「はいはい、わかってますって。みんなに言われるもん。あのしるふ以外の女なんて米粒ほども興味のない黒崎先生にも無理するなよって言われたんだもん、これは少ししおらしくしてないとね」

っていってもー、私が今抜けたら医局がパンクすると思うけどー

あっけらんかと笑う莉彩にしるふは苦笑を返す

莉彩は、しるふが研修医時代の時から付き合っていた年上の彼と去年の10月に入籍した

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