誠につもる白雪かな
第二章

六 変化

ひとめも知らぬ男なら


恨みも恋も有るまいものを


なまぜ近江の水鏡


写して見れば水底は


かたい堅田の石山にきつうのせたに


わしゃのせられて


思ひすごしは我からさきの


一ツまへ帯しどけない振りよ


仮令あはずと三井寺の


かねては思ひいる崎の


矢橋の風にひらの雪くれ


実なれどもいたずら髪の


いふに云われぬ世の中の


人のうわさも七十五日


浮名きのどくの山ほととぎす


はてさうぢやはへ


はてさうぢやはへ




末はひとつのもとの水
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