ロング・ディスタンス
親友
 外套を羽織り、スカーフを巻いて玄関を出る。足元はショートブーツ。
 おなじみの出勤風景だけど、いつもと何かが違うことに気付く。

 自分の肌が何かを感じている。自分の嗅覚が何かをかいでいる。この感覚は前にも感じたことがあることを思い出した。

 辺りを照らす微かな陽気。
春が近いことを表している。ああ、そうだ。これは春の空気だった。
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