ロング・ディスタンス
招待
 いつの間にかその季節は巡ってくる。梅雨入りからずっと週末は雨が続いていたのに、ありがたいことにこの日曜日はピーカンに晴れ上がってくれた。
 今日は成美と光太郎の結婚式なのだ。

 式は運河沿いの瀟洒な結婚式場で挙げられる。この日のために二人は何か月も前から用意をしてきた。

 婚礼衣装に着替えた成美は、光太郎と一緒に控室で出番が来るのを待っていた。スタッフの指示を受けて、二人は披露宴会場に入場した。まばゆいスポットライトに一瞬目がくらみそうになる。彼らは音楽に合わせて、ゆっくりと新郎新婦の席へと向かう。

 二人は金屏風の前に設えられた席に座る。式が進行するにつれ、成美は会場を見渡す余裕が出てきた。こっちは照明に照らされているし、あっちは暗いしで招待客の顔ぶれはよくわからない。親友がここに来てくれているといんだけれど。
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